短母音
カタカナ近似:イ(エに近い短いイ)
- ship/ʃɪp/
- sit/sɪt/
- big/bɪɡ/
唇を横に引かず、力を抜いて短く。iː より舌の位置が低く、日本語の「イ」よりゆるい音。
辞書に出てくる発音記号を、母音・二重母音・子音に分けて一覧にしました。記号ごとに例語と「日本語話者向けの出し方のコツ」が付いていて、似ている音はミニマルペアで比べられます。
44 個の記号
短母音
カタカナ近似:イ(エに近い短いイ)
唇を横に引かず、力を抜いて短く。iː より舌の位置が低く、日本語の「イ」よりゆるい音。
短母音
カタカナ近似:エ
アメリカ式では ɛ と書く
日本語の「エ」に近い。口を少し横に開く。アメリカの辞書では /ɛ/ と書かれることが多いが同じ音。
短母音
カタカナ近似:エとアの中間
「エ」の口の形を作ったまま、あごを下げて「ア」と言う。日本語の「ア」で代用すると ʌ と区別できなくなる。
短母音
カタカナ近似:ア(短い)
口をあまり開けず、喉の奥で短く「ア」。日本語の「ア」に最も近いが、もっと力を抜く。
短母音
カタカナ近似:ウ(短い)
唇を丸めすぎない。uː よりずっと短く、力を抜いて出す。
短母音
カタカナ近似:オ(英)/アー(米)
アメリカ式では ɑː と書く
イギリスは唇を丸めた短い「オ」、アメリカは唇を丸めず口を大きく開けた「アー」。同じつづりでも国で音が変わる代表例。
短母音
カタカナ近似:弱いア(曖昧母音)
強勢のない音節に現れる。口をほとんど動かさず、「ア」とも「ウ」ともつかない音。英語でいちばん頻度が高い母音で、これを弱く言えるかどうかでリズムが決まる。
長母音
カタカナ近似:イー
唇を横に引いて笑顔の形。ɪ との違いは長さだけでなく舌の高さで、iː のほうが舌が高く緊張している。
長母音
カタカナ近似:アー
口を大きく開けて喉から「アー」。アメリカ英語では後ろの r まで発音するので、舌を軽く丸める。
長母音
カタカナ近似:オー
唇を丸めて前に突き出す。アメリカ英語では ɑː と区別しない話者も多く、辞書によって表記が揺れる。
長母音
カタカナ近似:ウー
唇をしっかり丸めて前に出す。日本語の「ウ」は唇を丸めないので、そのままだと弱く短く聞こえる。
長母音
カタカナ近似:アー(口を狭めた)
アメリカ式では ɜːr(辞書によっては ɝː) と書く
「アー」と「ウー」の中間で、口をあまり開けない。アメリカ英語では r の音が混ざるため、辞書では /ɝː/ や /ɜːr/ と書かれる。
二重母音
カタカナ近似:エイ
「エ」から「イ」へ滑らせる。日本語の「エー」のように伸ばすと別の音に聞こえる。
二重母音
カタカナ近似:アイ
口を大きく開けた「ア」から「イ」へ。前半を長く、後半を短く言うと英語らしくなる。
二重母音
カタカナ近似:オイ
唇を丸めた「オ」から「イ」へ。日本語の「オイ」でほぼ通じる、数少ない音。
二重母音
カタカナ近似:アウ
「ア」から唇を丸めて「ウ」へ。最後の唇の丸めを省くと æ に聞こえてしまう。
二重母音
カタカナ近似:オウ
アメリカ式では oʊ と書く
イギリスは曖昧母音から、アメリカは「オ」から始める。どちらも「オー」と伸ばさず、最後に「ウ」へ動かす。
二重母音
カタカナ近似:イア
アメリカ式では ɪr と書く
「イ」から曖昧母音へ。アメリカ英語では r まで発音するので、辞書では /ɪr/ と書かれる。
二重母音
カタカナ近似:エア
アメリカ式では er と書く
「エ」から曖昧母音へ。アメリカ英語では /er/ と1つの母音のように扱われる。
二重母音
カタカナ近似:ウア
アメリカ式では ʊr と書く
「ウ」から曖昧母音へ。イギリスでも ɔː に変わってきており、poor を /pɔː/ と読む人も多い。
子音
カタカナ近似:プ
唇を閉じてから息を強く破裂させる。語頭では日本語のパ行より息の量が多い。
子音
カタカナ近似:ブ
p と同じ口の形で声を出す。唇を必ず一度閉じるので、v とは別の音になる。
子音
カタカナ近似:ト
舌先を上の歯の裏に付けて離す。アメリカ英語では母音に挟まれるとラ行に近い音になる(water)。
子音
カタカナ近似:ド
t と同じ位置で声を出す。日本語のダ行とほぼ同じだが、舌先をもう少し前に付ける。
子音
カタカナ近似:ク
舌の奥を上あごに付けて離す。語頭では息を強く出す。
子音
カタカナ近似:グ
k と同じ位置で声を出す。IPA では活字体の ɡ を使うので、手書きの g と形が違って見える。
子音
カタカナ近似:フ
上の前歯を下唇に軽く当てて息を通す。日本語の「フ」は両唇で作る別の音なので、意識して歯を使う。
子音
カタカナ近似:ヴ
f と同じ口の形で声を出す。音を伸ばせるのが特徴で、伸ばせないなら b になっている。
子音
カタカナ近似:ス(無声)
舌先を上下の歯で軽く挟み、すき間から息を出す。s と違って舌先が見える。
子音
カタカナ近似:ズ(有声)
θ と同じ口の形で声を出す。the / this / that など頻出語に入っているので、ここだけは早めに直したい音。
子音
カタカナ近似:ス
舌先を歯に付けず、すき間から息を通す。日本語のサ行とほぼ同じ。
子音
カタカナ近似:ズ
s と同じ位置で声を出す。語末の z を無声化して s にすると、複数形や三単現が聞こえなくなる。
子音
カタカナ近似:シュ
唇を少し前に出し、舌を s より後ろに引く。日本語の「シ」より唇を丸める。
子音
カタカナ近似:ジュ
ʃ に声を足した音。英語では語頭にほとんど現れず、語の途中に出てくる。
子音
カタカナ近似:チ
t と ʃ をひと息で続ける。日本語の「チ」に近いが、唇をもう少し丸める。
子音
カタカナ近似:ジ
tʃ に声を足した音。ʒ とは違い、最初に舌が上あごに触れて一度止まる。
子音
カタカナ近似:ム
唇を閉じて鼻から声を出す。語末では「ム」と母音を足さず、唇を閉じたまま終える。
子音
カタカナ近似:ヌ
舌先を上の歯の裏に付けて鼻から声を出す。日本語の「ン」は舌が付かないことが多いので、意識して付ける。
子音
カタカナ近似:ング(グを出さない)
舌の奥を上げて鼻から抜く。最後に「グ」を付けると別の音になる。日本語の「案外(あんがい)」の「ン」がこの音。
子音
カタカナ近似:ル
舌先を上の前歯の裏にしっかり付けたまま声を出す。語末では舌を離さずに終える(feel)。
子音
カタカナ近似:ル(舌を付けない)
舌先をどこにも触れさせない。唇を少し丸めて「ウ」の形から始めると近づく。日本語のラ行は舌が触れるので l に聞こえる。
子音
カタカナ近似:ヤ行
記号の j は「ジ」ではなくヤ行の音。music /ˈmjuːzɪk/ のように、u の前に隠れていることが多い。
子音
カタカナ近似:ワ行
唇をしっかり丸めてから開く。日本語の「ワ」は唇の丸めが弱いので、意識して丸める。
子音
カタカナ近似:ハ行
口の中のどこも触れさせず、息だけを出す。f と混ざりやすいので、下唇に歯が当たっていないか確認する。
カタカナは近似でしかありません。日本語の音に置き換えて覚えると、その形で固まってしまいます。 最初の手がかりとしてだけ使い、最終的には口の形と舌の位置で覚えてください。
結論から言うと、覚えたほうが独学の精度が上がります。理由は単純で、辞書が読めるようになるからです。 発音記号が読めない状態だと、新しい単語に出会うたびに「たぶんこう読むだろう」という推測が入ります。 英語はつづりと音の対応が緩いので、この推測はよく外れます。
たとえば comfortable を「コンフォータブル」と読んでしまう人は多いですが、実際は /ˈkʌmftəbəl/ に近く、真ん中の or はほとんど消えます。記号が読めれば辞書を見た瞬間に気づけますが、 読めなければ何年もそのまま覚えてしまいます。
覚える量は44個ほどで、そのうち日本語と大きく違うのは10個程度です。一気に暗記する必要はなく、辞書を引くたびに1つ確認するようにすれば、数週間で読めるようになります。
同じ単語でも辞書によって記号が違うことがあります。多くは間違いではなく、 アメリカ式とイギリス式の差です。代表的なものを並べます。
| 語 | イギリス式 | アメリカ式 | メモ |
|---|---|---|---|
| hot | /hɒt/ | /hɑːt/ | イギリスは唇を丸めた短い「オ」、アメリカは口を開けた「アー」。not / stop / box も同じ |
| bath | /bɑːθ/ | /bæθ/ | ask / class / dance / half も同じグループ。アメリカは æ になる |
| go | /ɡəʊ/ | /ɡoʊ/ | 二重母音の出発点が違うだけ。home / road / know も同じ |
| car | /kɑː/ | /kɑːr/ | イギリスは母音のあとの r を読まない(直後に母音が続くときだけ読む) |
| water | /ˈwɔːtə/ | /ˈwɑːtər/ | アメリカでは母音に挟まれた t がラ行に近くなる。better / city も同じ |
| new | /njuː/ | /nuː/ | アメリカでは j が落ちることがある。duty / tune / Tuesday も同じ |
| schedule | /ˈʃedjuːl/ | /ˈskedʒuːl/ | 母音ではなく語そのものの読み方が違う |
| tomato | /təˈmɑːtəʊ/ | /təˈmeɪtoʊ/ | 強勢の位置は同じで、真ん中の母音だけ違う |
| either | /ˈaɪðə/ | /ˈiːðər/ | 実際にはどちらの読み方も両国で使われる。好みの差に近い |
| advertisement | /ədˈvɜːtɪsmənt/ | /ˌædvərˈtaɪzmənt/ | 強勢の位置そのものが動く例 |
いちばん影響が大きいのは母音のあとの rです。アメリカ英語は car / bird / more の r まで発音し、 イギリス英語は発音しません(直後に母音が続くときだけ読みます)。 この1点を決めておけば、辞書の表記の違いに戸惑うことがほとんどなくなります。
日本語の音で代用すると別の単語になってしまう音を、優先度の高い順に5つ挙げます。 上から順に直すのが効率的です。
| 音 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| θ / ð | think が sink、that が dat に聞こえる。the / this / that に入るので頻度が最大 | 舌先を上下の歯で軽く挟む。鏡で舌先が見えれば合っている |
| r / l | 日本語のラ行は舌が触れるので、両方 l に寄る。light と right が同じ音になる | l は舌先を歯の裏に付ける。r は絶対にどこにも触れさせない |
| v | b で代用すると berry と very、boat と vote が同じになる | 上の前歯を下唇に当て、音を伸ばせるか確認する |
| æ | 「ア」で代用すると cat と cut、bad と bud が区別できない | 「エ」の口の形のまま、あごを下げて「ア」と言う |
| ŋ | 最後に「グ」を足すと sing が singu のように聞こえる | 舌の奥を上げて鼻から抜き、そのまま終える。「あんがい」の「ン」が同じ音 |
もう1つ加えるなら語末に母音を足さないことです。日本語は子音だけで終われないため、 book が「ブック」、and が「アンド」になります。子音で止める練習は、上の5つと同じくらい通じ方を変えます。 英文を実際に声に出す練習量を測りたいときは音読スピード測定(WPM)が使えます。
発音記号の中に出てくる小さな縦棒は、強く読む位置を示します。ˈ が第一強勢(いちばん強い音節)、ˌ が第二強勢(2番目に強い音節)で、 どちらも直後の音節を指します。上に付くのが第一、下に付くのが第二です。
| 語 | イギリス式 | アメリカ式 | 強く読む位置 |
|---|---|---|---|
| photograph | /ˈfəʊtəɡrɑːf/ | /ˈfoʊtəɡræf/ | 1音節目(pho) |
| photographer | /fəˈtɒɡrəfə/ | /fəˈtɑːɡrəfər/ | 2音節目(to)に移る |
| photographic | /ˌfəʊtəˈɡræfɪk/ | /ˌfoʊtəˈɡræfɪk/ | 3音節目(gra)が第一、1音節目が第二 |
| present(名詞) | /ˈprezənt/ | /ˈprezənt/ | 前が強い(贈り物・現在) |
| present(動詞) | /prɪˈzent/ | /prɪˈzent/ | 後ろが強い(発表する) |
| record(名詞/動詞) | /ˈrekɔːd/ / /rɪˈkɔːd/ | /ˈrekərd/ / /rɪˈkɔːrd/ | 名詞は前、動詞は後ろ |
ポイントは、強勢が動くと母音の音まで変わることです。強勢のない音節の母音はたいてい ə (曖昧母音)に弱まります。photograph の2つめの o は /ə/ ですが、photographer では強勢が移るため、 今度は1つめの o が /ə/ になります。強勢を正しい位置に置くだけで、母音は自然に整います。
逆に言えば、全部の音節を同じ強さで読むのが日本語話者のいちばん大きなクセです。 記号を1つずつ正確に出すより、強い音節を1つ決めて残りを弱く言うほうが、通じ方は大きく変わります。 不規則動詞の過去形など、つづりと音がずれやすい語は不規則動詞 一覧+テストで形を確認しながら音も一緒に固めておくと効率がいいです。
覚える価値はあります。数は44個ほどで、1日10分を1週間続ければ読めるようになります。読めると辞書を引いた瞬間に正しい音が分かるので、それ以降に覚える単語すべての精度が上がります。逆に読めないままだと、カタカナで覚えた音を後から直し続けることになり、そのほうが総コストが高くなります。
自分がよく聞く英語に合わせてください。日本の教材や TOEIC はアメリカ英語が中心なので、迷うならアメリカ式です。ただし辞書はイギリス式を先に載せるものも多いので、hot が /hɒt/ と /hɑːt/ の両方で書かれること、car の r を読むかどうかで表記が変わることだけ知っておけば混乱しません。この一覧では違いがある記号を併記しています。
最初の手がかりとしては役に立ちますが、そのまま固定すると通じない発音になります。たとえば /θ/ を「ス」で覚えると think が sink に聞こえ、意味が変わってしまいます。カタカナは「だいたいこの辺」の目印にして、最終的には口の形と舌の位置で覚えてください。この一覧では記号ごとに舌と口の使い方を書いています。
ブラウザの読み上げ機能(Web Speech API)が使える環境では、例語の横に「音声」ボタンが出ます。使えない環境では表示されません。ただしブラウザの合成音声は実際の英語話者の発音とは差があるので、正確に確認したいときは辞書アプリの録音音声を聞いてください。
θ と ð(think / this)、v、r と l の区別、æ、ŋ の5つです。いずれも日本語に対応する音がなく、近い音で代用すると別の単語に聞こえます。優先順位を付けるなら、the / this / that に入っている ð と、頻度の高い r と l の区別から始めるのが効率的です。
ˈ が第一強勢(いちばん強く読む音節)、ˌ が第二強勢(2番目に強い音節)で、どちらも直後の音節を指します。英語は強弱のリズムで成り立っているので、強勢の位置を外すと単語自体を聞き取ってもらえないことがあります。photograph と photographer のように、同じ語族でも強勢が動く語には注意が必要です。
発音は知識だけでは変わらず、自分の口で出した回数で決まります。Inko は1日60秒だけ AI と英語で話すアプリで、話したあとに自動でレッスンノートが残るので、毎日少しずつ口を動かす習慣が作れます。